4年1組 国語科学習指導案 2007年6月1日(金)5限目
指導者 ○○なおと
場所 4の1教室
1.単元名 「2.段落のつながりに気をつけて読もう」
「かむ」ことの力
2.目標 ・「『かむ』ことの力」を読んで自分の体の仕組みや働きに関心を持ち、かむことについて自分の考えを意欲的に書こうとする。【関心、意欲】
・段落ごとの内容とそのつながりに着目しながら読む。 【読 イ】
・文章全体の組み立てとそれぞれの段落の内容・ 役割を考えながら読む。 【読 オ】
・文章全体について、段落の役割を理解する。 【言 オ(イ)】
3.指導にあたって(1)教材観 【学習の核とたてのつながり】 ここでの「学習の核」とはその単元の中で重点を置いて集中的に取り扱う基礎的なスキルや基本的な読み方のことである。一般的に単元の中では既習の内容と新しい内容を重層的に指導していくのが普通であるので「中心点」を明確にしておくことは非常に大切である。中心点が明確でなければ指導の焦点がぼやけてしまい、漫然とした指導になるおそれがある。また子どもたちのPISA型「読解力」を高めていく上で重要な研究の視点は「たてのつながり」を意識して小学校の教育課程全体を視野に入れていくということである。
つまり単一学年、単一教材での「効果的な指導方法」を探ることに重点を置くのではなく、低学年から高学年に向けて、いつ、どのような点にポイントを置き、それが次にどのようにつながっていくのかということを研究の足跡として残していきたいと考えている。
それぞれの単元では学習指導要領に示されているように、小学校の教育課程全体を見渡した「学習の核」と呼べる内容が意図的・系統的に配列されている。指導にあたってそれをもう一度じっくり吟味し、教材観の項において、既習の学習の核と本単元での学習の核、それから今後指導される予定の「学習の核」を明記して、本単元の位置づけを明確にしたいと考えている。
学習指導要領の説明的文章の イ 読むことの目標の流れは以下のようになっている。
(第1学年及び第2学年) イ 時間的な事柄の順序などを考えながら内容の大体を読むこと。
(第3学年及び第4学年) イ 目的に応じて、中心となる語や文をとらえて段落相互の関係を考え、文章を正しく読むこと。
(第5学年及び第6学年) イ 目的や意図などに応じて、文章の内容を的確に押さえながら要旨をとらえること。
このように小学校段階で順序・中心点・要旨をきちんととらえて読む力を育てていく計画なのであるが、現状は高学年になっても中心点がとらえられなかったり、中学生になっても順序を押さえた読みが十分でなかったりするという報告がされている。
これは「読み」の指導で学習したことを定着させることが大変難しいということを示している。このような現状を踏まえ、今後従来の読みの指導をPISA型「読解力」の育成の視点(情報の活用)から見直し、「取り出し」「解釈」「熟考・評価」の読みのプロセスまで踏み込んで今までより細かに読み取りの過程を分解して、指導方法の改善を進めていく必要を感じている。この際、「学習の核」という簡潔な表現で学習のポイントを示していきたいと考えている。
本校で使用している光村図書の国語科の教科書では説明的文章教材が以下のように配列されている。
3年
5月 まとまりに気をつけて読もう「ありの行列」
●要点を正しくつかみ、細かい部分に注意したり大きく読んだりする。(イ・オ)・ 段落について知り、段落ごとに書かれている内容をとらえる。・ 時間的な順序を表す接続語を理解する。
10月 大事なことを確かめよう 「すがたをかえる大豆」
●段落相互の関係を考えながら、文章の内容を的確に理解する。(イ)・ 中心となる語や文をとらえる。・ 初め、中、終わりの大きなまとまりの内容をとらえる。・ 段落相互の関係を考え、内容を正しく読む。(並列関係)
4年
5月 段落のつながりに気をつけて読もう 「『かむ』ことの力」
●各段落の内容とそのつながりを考えながら読み、まとまり相互の関係を理解する。(イ・オ)・ 段落のつながりを考え、大きなまとまりの内容をとらえる。・ 初め、中、終わりの大きなまとまりごとの役割をとらえる。(全体構成)
10月 材料の選び方を考えよう(読み書き複合) 「アップとルーズで伝える」
●各段落がどのような役割を果たしているかを考えながら読む(イ)・ それぞれの段落が全体の中でどのような役割を果たしているかを考えながら読む。・ 内容の中心となる語や文をとらえる。
5年
5月 「サクラソウとハナマルバチトラバチ」
●要旨をとらえ自分の考えを持つ。(イ)
上記のように本単元「『かむ』ことの力」は4年生になって初めての説明文的文章教材である。子どもたちは今までに3年生で「ありの行列」「すがたをかえる大豆」等で以下のような学習の核を学習してきた。
①段落の「初め、中、終わり」の段落構成(文章全体の俯瞰の力)②時間やプロセスを追っての展開(文章の順序把握力)③理由を述べてから説明する書き進め方(全体から部分へ)④接続語やこそあど言葉(つながりの種類)⑤段落の要点を押さえながら読むこと(文章の中心把握力) 等
低学年での「順序を押さえて読む」という学習の核の定着を図りながら、3年生では「要点を押さえて読む」を中心に上記の内容を学習してきたのであるが、しかし、まだ文の構成や文末表現や繰り返し語句などの表現の工夫に着眼したり、中心点を踏まえて的確に読んだりする力は十分とはいえない。4年生ではそのことを考慮し、この単元では以下の2点を学習の核と考え指導していきたい。
①全体の文脈の中で中心段落をつかむ。(中心段落)②段落の中心となる語をとらえる。(中心語の把握力)
【「かむ」ことの力の教材分析】 この説明的な文章は教科書のための書き下ろしであり、筆者は歯科医の金田洌氏である。氏は学習指導書の「筆者の言葉」の所で日本の食の乱れに強い問題意識を持っていることを述べ、食の変化が子どもたちの成長に大きな影響を与えているということを危惧している。つまりこの教材文は歯科医の立場から、よくかむことの重要性を子ども達に伝えて、食に対する関心を高めてほしいという願いを込めて書かれたメッセージであると推測できる。
子ども達は「かむ」という行為を毎日当たり前に行っているので、その仕組みや意味について意識していることが少ないはずである。子どもたちの意識は「かむのは飲み込むため」とか「かまないとおなかが痛くなる」程度の認識の子どもが多い。漠然とその大切さに気がついている子はいるだろうが、おそらくかむことが顔の形や虫歯と関係しているとか、さらに脳の発達や体全体に関係しているまで意識している子どもは皆無であろう。そういった子ども達にとって本教材との出会いは、自分のからだや生活を新しく発見する機会になると考えられる。そして本教材を学習するうちに子どもたちは、普段何気なく行っていることにも、想像する以上の複雑なメカニズムが潜んでおり、体の仕組みは巧妙に関連していることに驚きを持つことであろう。
また、本教材は「初め」・「中」・「終わり」という典型的な説明文の構成で書かれているので、説明的な文章のひとつの典型を学ぶ機会となると考えられる。
このようにこの教材は、4年生の子どもたちに内容面では「日常的なかむという行為の大切さ」と「体の仕組みの巧妙さ」に気づかせ、また言語の学習面では「内容の中心と段落のつながり」を考えさせるための教材として量的にも質的にも適切であると考えられる。
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