(4)ブロックの柱と本時 中学年ブロックでは、本校の研究テーマ「生き生きと学び合う子の育成」-読解力を高めていく授業作り-を踏まえ、ブロックの3つの柱を設定して「読解力」を高める授業を構想していくつもりである。「読解力が向上した」とか、「段落のつながりをつかんだ」という「読み」の変容を見える形で示すことは大変難しい。そこで取り出しや解釈、熟考・評価のプロセスを何らかの形で見えるように工夫することによって、子どもたちの読みが変容を見極めることができると考えている。ブロックの柱はその工夫の拠り所となる。
本単元を通して、「マインドマップ」「マップメモ」等の手立てにより、取り出しプロセスの視覚化の改善を図り、根拠を明確にさせるための学習を継続して行ってきている。また同時に「読みアニマシート」の活用により目的意識を明確に持たせた音読ワークで継続的に読み技能を高め、文脈が的確にとらえられるように配慮してきた。そして本時は前述の流れの中で3つの柱の中で特に柱3 の自分の知識・経験と重ねて判断(意見)を持つという部分に注目して授業を構成している。
「読解力」育成を意識した本単元では、従来の国語科授業で行われていた「確認読み」から一歩進んで、教材文と「自分」とを結びつけて「自分の意見」を書く、述べる活動を大切にした構成としている。「何が書いてあるか」だけでなく「自分はそれを納得できるか」という読みの視点を前面に出し、単元の終わりは教材文に対して自分の考えを書く活動(「読後作文」)で締めくくる予定である。
そのために単元の導入時に、子どもたちの「かむこと」に対する関心を掘り起こし、その後、単元を通した読みのめあては「かむことについて、自分の考えを書くことができる」であるということを丁寧に確認する。さらに、「読んだら書く」を合言葉として毎時間、書く活動を小刻みに取り入れていく。
(資料参考「なるほどシート」、「マインドマップ」「取り出しマップメモ」「読みアニマシート」「アピールシート」)
このようにして進めていく読みを「なるほど読み」と呼ぶことを知らせ、子ども達に単元のゴールとそこまでの学習の見通しを持たせていく。
「なるほど読み」とは具体的には「だれが」「なにが」「どんな順序で」「いつ・どこで」「一番大切なのは」「仲間に分けると」という確認読みの観点に、「これはなるほどと思えるか」「・・ということは」というふうに自分が納得できて、自分の考えが進んでいくという読みの観点を加えた読み方である。つまり読み取ったことと自分とつなげさせて、「自分の歯は?」「自分のあごは?」「自分の脳は?」というふうに自分と関係付けて考えさせることをねらっている。
また「かむ」ことという内容面だけではなく、言語の形式面、たとえば「中心はどこ?」「段落の意味は?」「段落構成はわかりやすい?」「段落のつながりは?」などについて考え、評価する場面でも、自分の立場からある程度の客観性を持った判断をするという姿勢を育てることも同時に意図している。
このように「読んで書く」を繰り返してきた子どもたちは、最後の場面では情報過多の状態となることが予想される。つまりこのまま「読後作文」活動に入ると何から書けばよいか決められなくなるであろう。そこで自分が本当に納得している中心点を明確にさせるために、「アピールタイム」の時間を設定する。ここが本時となる。
ここでは話し手は自分の立場を明確にし、(賛成アピール・反対アピール)自分の意見を裏付けるその根拠にランク付けして自分の考えをアピールする。聞き手は必ずアピールに対していくつかの質問する。話し手はそれに回答する。このように読み取った根拠にランク付けをし、友達の目をくぐらせる場を設定することにより、自分が書くべき内容が整理されていくと期待している。本時のねらいは熟考プロセスの中の「情報の吟味と整理」である。
このような授業構成、すなわち、読み取ったことを自分の中にしまっておくだけではなく、根拠の重要度順ランク付け活動や、相手意識を持って外に向けて行うアピール交流などで友だちとやりとりする学習スタイルがPISA型の読解力の熟考・評価のプロセスの部分を育ててくひとつの切り口になるのではないかと考えている。
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