2007.4.5
研究主題 生き生きと学び合う子どもの育成 副題 - 「読解力」を高めていく授業作り -
◆提案理由
<今年度の課題>
① 関わり学びの質を向上させる「言葉」に注目することによって子どもたちの生き生きと学び合う姿を引き出す指導法を探る。
② 体験活動と思考と表現とをつなぐための「言葉」に注目することによって子どもたちの生き生きと学び合う姿を引き出す指導法を探る。
今年度は算数科と国語科の二つの教科で研究を進めてきた。それぞれ生き生きと学び合う姿を引き出す具体的な工夫などが成果としてあがってきた。しかし全体的に見ると研究の重点が絞りにくく、各ブロックの柱も今ひとつ統一感が持てず、算数科に取り組んだブロックと国語科に取り組んだブロックのつながりが持てなかったことは大きな反省点であると考える。今後研究を進める上で前述の課題を受け、来年度は国語科に絞って研究を推進していきたいと考えている。
来年度も研究主題は継続する。それは目指す「子ども像」として比較的誰にでも分かりやすいと考えるからである。また今年度は「生き生きと学び合う姿」とはどのような姿であるか、そしてそのような姿をどのような教材研究や授業場面で引き出すかを実践研究してきたからである。この基本的なスタンスは、前年度終わりに行った「3年継続の確認」を尊重して変更することは考えていない。
ただし、副題の「授業像」にあたる「考えたくなる授業」はこの一年間あまり論議できないまま終わってしまった。これは思考を対象とした副題であったがこの文言では共通理解が難しかったようである。
そこで2年目は1年目の課題を踏まえて、「言葉を取り出し、解釈、熟考・判断して活用する」PISA型「読解力」を副題に取り入れ、目指す授業像が明確になるように変える。そして3年目は「読解力を高め、関わり合う授業作り」へと研究を推進していく予定である。
2007.3.9
申し送り事項(案) 2/21と3/9の全体研究会で共通理解された点
・ 新年度(研究年度2年目)は国語科に絞る。
・ 主題はこのままでよい。
「生き生きと学び合う子どもの育成」
・ 副題はもっと考えたほうがよい。「言葉をつなぐ」は曖昧すぎる。
2/7
- 言葉をつないで思考を深めていく授業作り -
<2/7討議のキーワード>
PISA型「読解力」、正しく読む(根拠)、活用(アウトプット)、
「書く、話すにつなげる読み」、低・中・高の系統(たてのつながり)
3/9再提案内容
- 「読解力」を高めていく授業作り - (研究年度2年目)
- 「読解力」を高め、関わり合う授業作り - (研究年度3年目)
◆研究年度2年目はPISA型「読解力」の指導について学校全体の共通理解を深める。具体的には
①PISA型「読解力」とは何か。どんな力をつけるのかを明確にする。
・国際調査の報告書の読み合わせ、国語教科書の変化、2007全国学力テスト、ベネッセの研究報告などを調べ、本質的な部分を明確にする。
② 今までの教材研究、授業作りと比べ、どんな点を変えていけばいいのかを論議する。
・ 教材研究のフローチャートで比較。指導案の検討、顕著な学習場面などをもとに論議する。
③「読解力」をつける授業場面のイメージを持つことができる。
・ 6月までにモデル授業を公開し授業を通して共通理解を深める。
2007_0404 参考資料1
文部科学省 読解力向上プログラム 平成17年12月から
PISA調査は、読解の知識や技能を実生活の様々な面で直面する課題においてどの程度活用できるかを評価することを目的としており、これは現行学習指導要領がねらいとしている「生きる力」「確かな学力」と同じ方向性にある。また、学習指導要領国語では、言語の教育としての立場を重視し、特に文学的な文章の詳細な読解に偏りがちであった指導の在り方を改め、自分の考えを持ち論理的に意見を述べる能力、目的や場面などに応じて適切に表現する能力、目的に応じて的確に読み取る能力や読書に親しむ態度を育てることが重視されており、これらはPISA型「読解力」と相通ずるものがある。
1.PISA型「読解力」の定義・特徴等
PISA型「読解力」は、次のように定義されている。
「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」 PISA型「読解力」では、義務教育終了段階にある生徒が、文章のような「連続型テキスト」及び図表のような「非連続型テキスト」を幅広く読み、これらを広く学校内外の様々な状況に関連付けて、組み立て、展開し、意味を理解することをどの程度行えるかについて、可能な限り客観的にみることをねらいとしている。
このため、PISA型「読解力」の問題では、行為のプロセスとして、テキストの中の事実を切り取り、言語化・図式化する「情報の取り出し」だけではなく、
書かれた情報から推論・比較して意味を理解する「テキストの解釈」、
書かれた情報を自らの知識や経験に位置づけて理解・評価(批判・仮定)する「熟考・評価」の3つの観点を設定している。また、出題形式では、自由記述が約4割を占めている。
すなわち、「読解力」とは、文章や資料から「情報を取り出す」ことに加えて、「解釈」「熟考・評価」「論述」することを含むものであり、以下のような特徴を有していると言える。
・テキストに書かれた「情報の取り出し」だけはなく、「理解・評価」(解釈・熟考)も含んでいること。
・テキストを単に「読む」だけではなく、テキストを利用したり、テキストに基づいて自分の意見を論じたりするなどの「活用」も含んでいること。
・テキストの「内容」だけではなく、構造・形式や表現法も、評価すべき対象となること。
・テキストには、文学的文章や説明的文章などの「連続型テキスト」だけでなく、図、グラフ、表などの「非連続型テキスト」を含んでいること。
なお、PISA調査の「読解力」とは、「Reading Literacy」の訳であるが、わが国の国語教育等で従来用いられてきた「読解」ないしは「読解力」という語の意味するところとは大きく異なるので、本プログラムでは単に「読解力」とはせずに、あえてPISA型「読解力」と表記することとした。
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